宮さんのTen-Lab日記 ③(6月第1部)

「TenDokuパラダイス」Ⅰ

 

 TenDokuとは?個々人がおすすめの本を持ち寄り、グループ内で本を紹介し合う読書コミュニティ。「本を通じて人生をより豊かにする仲間が集う場」をコンセプトにしている。毎月第2・第4日曜日の朝10時から、天文館地区の様々な喫茶店やカフェに集まって、老若男女の本好きが本を片手に意見交換や情報交換を楽しむ。つまり“天文館で朝読書”のこと。

 

 Ten-Lab理事長の永山由高が2010年1月に始めた。最終的には安定的に20人近い本好きが集うコミュニティへと成長。2010年、2011年には30数名もの参加があった。現在は定員15人で参加を呼びかけている。

私は今年の2月26日、TenDokuにデビューした。案内を兼ねてその模様を再現してみる。

 

 最近めっきり天文館との縁が薄れかつ方向音痴の私は会場のマリアカフェに10時ぎりぎりに到着した。どうやら今日の参加者は私を含めてちょうど10名のようだ。60歳以上は2~3人?、若い人が大半を占めている!70代常連男性Sさん曰く、「初めて参加した時に、もう少し年輩が多いかと思っていたら、若い人が多いのでびっくりしたね」と。「この頃の若者は本を読まない」、そんなことはないのだ。2月26日以降の新しい参加者も若者が中心である。

 

 まず飲み物を注文する。セルフのカフェでは事前に手元へ。季節限定フルーツジュースとかそのお店のおすすめドリンクが楽しみな女性もいる。日曜日の朝という閑散な時間帯にまとまった人数の客を確保できるので喫茶店やカフェにとっても助かるはず。店員さんもにこにこ顔で迎えてくれる。

 

 4~6名のグループに分ける場合もあるが、この日は10人1グループで行うことに。案内人役の進行でチェックインから始まった。集まった人を和ませ、コミュニケーションをとりやすい雰囲気をつくる手法である。「あなたの行きたい所はどこ?」、時計回りの順に、京都、オーストラリア、ドイツ…と理由を添えながら生き生きとした表情で話していく。私の行きたい所は福岡ブックスキューブリックという本屋さん(後述)。

 

 リラックスできたところで、いよいよTenDoku本番。基本的な流れはこうだ。①自分の持ち込んだおすすめの本について順に1分半で説明。②その後、その本についてフリートーク。もっと本について紹介したり、みんなでディスカッションしたり…。フリートークは最大5分。これで1ターム(=1人分)の終了となる。タイムキーパーがつく(笑)。なお、本のジャンルは問わない。TenDokuの案内には、「本の概要」「気づき」「意見」「ネクストアクション」など織り交ぜると面白いとある。

 

 フリートーク中には、おすすめ本をみんなで回覧するし、TenDoku終了時には全てのおすすめ本をまとめてカメラに収める。つけ加えておく。

 

 私の場合を振り返ってみよう。TenDokuデビューということで、おすすめには、本好きなら誰もが気になる書店に関する本を選んだ。大井実著『ローカルブックストアである 福岡ブックスキューブリック』(晶文社)。

 

 私は、A4用紙1~2枚の読書録を作成することにしているが、それも参考にしながら、「小さな本屋がまちづくりの中心になる!リアル書店がだんだん姿を消していく中で、紙の本に代わって電子書籍のウエイトも高まってくる中で、開業して15年の小書店・福岡ブックスキューブリックが地域の文化交流拠点として機能する場になった。お店のネーミングは有名な映画監督スタンリーキューブリックから。監督の代表作はあの『2001年宇宙の旅』だ。店主(著者の大井実さん)が自身の文化体験から店づくりの哲学、出版業界の課題、小商いの魅力までを語った本である。うれしくて、俄然応援をしたくなる。と同時に今後のリアル書店に勇気と元気を与え、そして期待を抱かせる内容の本だ」等々1分半で「本の概要」を説明した。

 

 続いてフリートークへ。「地域に密着した書店として、赤坂けやき通り店では古本市を毎年開催。カフェ・ベーカリーとギャラリーを併設する箱崎店ではトークイベント(角田光代他一流のゲスト)や展覧会を次々に開催。本を媒介に、人が集い、町と人をつなぐコミュニティづくりへと活動の枠を広げて来た」と説明を加えた。

 

 「リアル書店はこの15年間で4割ほど減った」ことに触れると、「えーっ。そんなに!リアル書店が生き残れるかは、実店舗ならではの魅力をどれだけ生み出せるかにかかっているよね」「熊本の長崎書店も魅力的で頑張っている。鹿児島に地域店がないのは残念だ」と次々に発言が飛び出す。さらに「リアル書店の良さ」や「紙の本の良さ」など話に弾みがつき、あっという間に5分が過ぎた。私の事例はやや固い印象を与えたかも知れないが、自由にフランクにとにかく何でも話せるのでご安心あれ。以上であるが、TenDokuの模様や雰囲気が伝わったとしたらありがたい。

 

 おすすめ本はやはり小説(歴史、推理、恋愛等)が多いが、伝記、評論、デザイン、趣味と幅広い。私は時間があるのでビジネス、教養、ノンフイクション、小説、エッセイと何でも読むが、今はなるべくメンバーとは違うジャンルの本を持ち込むようにしている。今後は俳句などもどうかなと思っている。

 

 TenDoku終了後は名刺交換など適宜情報交換の時間となるが、この日曜午前のほのぼのとした時間はなかなか終わらない。余韻にひたりたいのか都合のつく仲間でランチへ繰り出すことも。20代、30代、40代、60代(私)の4人で食事の最中、全員が同じ高校の出身ということが偶然わかり、それぞれの時代の母校の思い出や母校論議に花が咲いたこともあった。(Ⅱに続く)